飲食店は、従業員の方々なしでは運営は全く出来ません。
ですから、最も重要な鍵を握っています。
さて、飲食店において、経営がうまくいかない場合、よく散見されるパターンに、
「従業員とオーナーのコミュニケーションがうまく行っていない。」ということがあります。
これは、コミュニケーションがうまくいけば、1つのトンネルを抜け出すきっかけになります。
しかし、・・・・コミュニケーションも信頼も密になっている場合・・・・
非常に頭を傾げるのですが、経営がうまくいかないのです。
それはなぜか・・・・?
私の出あった状況はこうでした。
オーナーはいわゆる聞き上手で、人の意見をよく聞いて判断する、コミュニケーションがうまいタイプの人でした。
従業員も、この業界の経験が長く、沢山のお店の料理長を歴任した人です。
数字にも強く、後輩の面倒見も良い、ここまでは理想的でした。
お互いに、意見の相違は、コミュニケーションが密で常に方向性を微修正していますので、
お店として一体感が非常にあって、職場としては文句ない職場です。
しかし、事実として、毎年前年割れをここ5年ほど続けていました。
私は、オーナーとある人介して知り合い、「経営について見てください。」と言われました。
オーナー曰く「内部的には、コミュニケーションは問題ない。料理長との意見は毎日すり合わせています。」
というだけあって、仲はいいように思えました。
さて、お店を拝見すると・・・・サービス・料理ともに、失格と言うまではないのですが、決して周囲のお店を抜きん出るレベルではありません。
競争の激しい中で、中庸はすなわち後退を意味します。
お客さまの視点で、このお店の魅力が全く見えないお店でした。
お店の器もそこそこ大きかったので、さらに特徴のなさに拍車をかけていました。
私は、ハッキリ言いました「これでは戦えませんね。特徴がなさ過ぎますし、普通過ぎます。」
働き方も、料理も、サービスも、従業員が考え作ったものです。
全く、オーナーの求めるものが見えないと言う状況。
働く者のための職場でした。
私は、そこの社長に「従業員とケンケンガクガク、サービスや料理で喧嘩寸前まで議論したことがありますか?」
と問いました。
オーナー「私は現場の経験ないから、現場に任せています。任せれば、彼らが自主的にいいものを作ってくれています。」
との返事。
それに対して私は、
「そうやって、この数字が現実ですよ。私はこの職場に、売上が下がり続ける現実と対決している厳しさを感じません。」
「それを許しているのは、対決を避けているオーナーではないですか?」
「従業員の方々は、口ではお客さまお客さまというけれど、どこまで本気なのでしょうか。」
「自分の給与を下げてください・・・と言うくらいなら本物ですけどね。」
と言いました。
結局、そのお店に欠落しているのは、
お客さまの視点・・・・なのです。
オーナーがそれを言わずして、誰が言うのでしょうか。
お客様にとって、価格、サービス、利用しやすさ、飽きさせない変化、雰囲気など小さな全ての結晶がどう届いているか?
どこまで高められているか?
そこを求めない、いわゆる平和ボケのお店の売上は、必ず前年割れを起こします。
あとは、オーナーは従業員の動く姿をみて、「こんだけがんばっているんだから、しょうがないか・・・」で終わりです。
従業員と、ケンケンガクガクやって、もっと高みを目指さないと、決して売り上げは戻りません。
それは、仲のいい従業員の方々とオーナーの関係からは決して出てこない意見です。
つまらない題材で、ケンケンガクガクはまずいですが、
オーナーはサービスや料理について、もっともっとと求めていかなくては、前年割れは止められませんよ。
でも、現場に詳しくないオーナーが要求しても、「オーナー、それは無理ですよ・・・なぜなら・・・」と言われて引っ込んでしまう。
もしくは、一旦受けても、従業員の方で勝手に、やっているようで、時間がたてば元通りに戻すことなるかどちらかです。
そして現場は前年どおりの営業を続ける・・・・お店が潰れるか、オーナーが代わるか、従業員が代わるまで、それは続くのです。