海外で、日本食のレシピを組む場合は結構大変です。
まず、海外に行く前に、日本でレシピを準備したとします。
さてそれが、役に立つかどうか・・・・・
第一に考えなくてはならないことは、日本で使う食材が現地で手に入るかどうかです。
醤油は、まずどこにでもあります。
しかし、なかなか手に入りにくいのは、出汁を取る食材です。
昆布やかつおは、アメリカ西海岸では手に入ります。
西海岸は「みりん」もあります。
中国本土やグァテマラは、なかなか難しい。
中国はパイチュー(白酒)に砂糖を加えて、調整します。
グァテマラでは、中国人社会があり、そこのスーパーに日本の食材もあったりします。
食材の入りやすさは、現地に日本人がどれくらい住んでいるかで、手に入りやすさは決まるようです。
2つ目は、価格です。
日本経由の食材の価格は相当高いです。
ですから、組んだレシピが原価が高すぎたり、売価がとても合わないものになることもあります。
3つ目は、日本の本土での味付けや盛り付けが、海外で通用するかということです。
懐石料理のような繊細な味付け盛り付けは、少なくともアメリカでは受け入れられません。
味がない・・・もしくは味が薄いという話になります。
そうなると、日本で通用することや、日本で準備したことが、まったく役に立たないのです。
私も、アメリカ西海岸や香港、台湾などで仕事をしてきましたが、最初は愕然としました。
でも、気を取り直し、「おいしい日本食を作る。」という概念を捨てて、「現地の食材で、日本的な食べ物を、現地の方々の舌にあわせて作る。」と切り替えれば良いのです。
自分の舌の感覚の「おいしい」を切り替えるのは最低でも数日かかります。
現地の評判の店を食べ歩くのが、一番参考になりますね。
それと、レシピに落とし込んだり、マニュアルにして教育するときも、戸惑います。
まず、日本人のような器用な指先は持ってません。
ですから、きちんとした繊細な盛り付けは避け、ダイナミックな盛り付けにしてしまいます。
そして、もうひとつ戸惑うのは、重さや重量の単位です。
アメリカは、ヤードポンド法が常用単位です。
1ポンド(≒454g)=16ポンド 1ポンド≒28.3gです。
見ての通り、16進法です。
また、同じオンスでも、体積のオンスもあります。
体積の場合、
1パイント(≒474ml)=16液料オンス 1液量オンス≒29.6mlです。
ややこしいことこの上ありません。
ですから、エクセルで作った原価計算書などは、計算式を入れなおす必要があります。
中国は、香港と中国本土でも少し違います。
香港は尺貫法に似ているのですが、
1斤(≒605g)=16両 1両≒37.8g=10匁 1匁=3.8g
と、16進法と10進法の混在です。
日本の尺貫法では1斤≒600gですので、若干違います。
頭が固いのか、私は2週間必死になってるとやっと覚えられました。
でも、日本に帰ったときは、逆に感覚が狂います。
レシピの単位や、食材や現地の人の味覚・・・すべて違う中で、感覚だけを頼りに、レシピを組みます。
そのときは、やはり最後は自分の舌を信じるしかないのです。
日本でレシピを組むときも、「自分のおいしい感覚」だけでレシピを組むだけでなく、
一人一人の味覚の傾向に合わせる訓練を積むと良いでしょう。
でも、海外の味覚の違いは、すべての日本人を集めても、足りないくらい大きい差があります。
そういうことを踏まえて、海外での日本食のレシピを組んでいただくと、現地の方々にも好評のレシピが組めるでしょう。
でも、この話はあまり参考になりませんね、結局体当たりしかないです。