アメリカ進出のいきなりステーキがなぜ躓いたか│日本とのステーキ文化の違いが壁になった!

海外の食ビジネス

3年前、華々しくアメリカのニューヨークに船出した「いきなりステーキ」でした。

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さて、今年になって11店舗出店した中で、7店舗が閉店に。

残り4店舗も2店舗は業態転換となってしまった。

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話題性で、最初はこんなに賑わっていたのですが、

どうしてこうなっちまったのだろう。

どうも、文化の違いを甘く見ていたようです。

アメリカにおける外食は、日本とは随分と様相が違います。

まず、日本の首都圏の交通インフラの整い方に非常にマッチングの良い業態であることを忘れているのでしょうか。

ニューヨークのダウンタウンなど、限られた地域での共通性はありますが、

アメリカは基本的に車社会で、

チップを必要とするオーセンティックなレストランと、

持ち帰りや車の中で食べる、ファストフードにハッキリと分かれています。

その中で、ステーキのファストフードという文化が、すごくわかりづらかったのだろうなと想像します。

とにかく、アメリカはわかりやすくなければいけないです。

微妙は、本当によくない。

「わかりやすい」≒「現行の文化に沿うやり方」です。

様々な先進サービスを作り出してきたアメリカですが、

グローサラントなどは新しいその一例でしょう。

しかし、それも何年もかかって、同時に起こった数々のチャレンジが、やっと少しずつ浸透してきた代物。

いきなりステーキの新しい食べ方の提案は、根付く文化と逆行しているので、もっと時間がかかるものだと思われます。

狭苦しい日本で通用したものが、そのままアメリカの感覚では難しいことを痛感させられる出来事でした。

華々しく11店舗も展開するやり方ではなく、2店舗程度のテスト店でやるべきです。

私が新しい展開の飲食業に申し上げることの一つに、「文化に挑戦してはいけない」ということがあります。

文化に挑戦するとは、「私が新しい提案をこの社会にもたらす!」という大上段に切り込むことです。

中には「ラーメンや、寿司が外国に浸透していったではないか」とおっしゃる人もおられるでしょう。

しかし、よく、海外のラーメン店や寿司店を見てみるとよいでしょう、

、、うまく経営できているところは、日本の在り方そのままではありません。

ラーメン店でも、よりサービスレベルを上げ、レストランのカテゴリーでやっているところが多いです。

メニューもディナーに耐えうるバリエーションを揃えています。

このように、飲食業で新しいことを始めるにあたり、新天地に進出することは判を押したようにはできません。

そういう、新たな文化への「挑戦」のようなスタンスのものは、華々しく始まって尻つぼみに終わりがちです。

話題性は長続きできませんし、流れに乗れず、やがてリピートが無くなっていってしまいます。

どうすればよいか、それは馴染むことを念頭に置いていただくといいと思います。

さて、日本において地方に進出した「いきなりステーキ」も同じ憂き目にあっています。

首都圏と違う車社会で、低所得者が多い中、単価の高さなど、ちょっとズレを感じていることでしょう。

飲食というものはそもそもオーセンティック(伝統的で正統派)な面があるということは特に忘れないようにしなければなりません。

いっぽう、社会の変化はきちんと感じ取って、変化もしていかなくてはいけません。

例えば、日本における「飲み」業態の話ですが、昨今は徐々に「飲み」離れが見られます。

全国的に居酒屋の数はどんどん減ってきています。

これは、コミュニケーションのありかたが、「飲み」からSNSに変わったからにほかなりません。

このように、右か左か、上か下かなど単純ではなく、とても微妙な舵取りが必要だと言えます。

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