恐ろしい話ですが、飲食店において金銭事故はめったに起こらないのかもしれませんが、つきものの一つです。
私も管理者としても、コンサルタントとしても出会ってしまいました。
正直言って、人を疑いたくはありません。
そりゃ苦しいものです。
しかし、何らかの事情で、人はやむに已まれず、やってしまいます。
恥ずかしながら、私の実際例をご紹介いたします。
私がある外食企業で店長3年目だった頃の話です。
人事異動で店舗を2店任されるようになり、割と期待されていたと思います。
異動先のお店が、本部のお膝下であったこともあり、役員の方々がいつも食べに来られますので、
「しっかり、決まったことは決ったようにちゃんとしておくこと。」と上司には口を酸っぱく言われていました。
とにかく私は、ここはチャンスだと思い、従業員の方々には厳しくしておりました。
ですから、数か月も経過すると、厳しすぎて従業員からは相当疎まれていました。
あくまでも憶測ですが、従業員の方々に、
「何かしら不都合が起きて、左遷されてほしい。」と思われていたのかもしれません。
そんなある日、朝早く、電話がかかってきて、
「金庫から売上が消えている。」ということでした。
そもそも、どちらかというと人を信じたい性分でしたので、自分の身に起きたことに愕然としました。
それからは、大変なことになりました。
どうも閉店後、裏口の施錠を鍵で空けて入ったということ。
要するに内部犯行です。
私も、当然ながら、店舗のカギは全部持っています。
何度も警察に呼ばれ、アリバイ聴取、過去の経歴の聴取、ポリグラフまでかけられました。
私の神経はズタズタになりました。
それよりも、お店の内部に犯人がいる状態で、
容疑者が捕まらないまま、疑いの目が誰ともなく渦巻いていました。
約一週間後、結局、盗まれたお金は、封筒に入れられて本社に送られてきました。
金銭的な損害はなくなったものの、犯人は結局つかまりませんでした。
当然ながら、私も家にいたのでアリバイは証明できず、容疑はグレーのままになりました。
「もうこれで一生一線級の店長にはなれないだろうな・・・・。」そう思った矢先、
案の定、郊外のひまなお店に異動になりました。
それから、コツコツと頑張って、数年後日本一の店長として表彰され、エリアマネージャーに昇格するのですが、
「負けてたまるか・・・という意地より、犯人ではないと言う証明をしたかったのかもしれません。」
当時の上司も、私のことはまだ100%信じてはいないかもしれませんね。
※もちろん表彰されたのも従業員の方々に助けてもらってのことです。
それでわかったことですが、信じすぎると、裏切られる素地を作ります。
だからチェックは欠かせません。
また、仕組みで、そういうことが起きたらばれる状況を作らなければなりません。
家族経営に近い形ならば、あまり問題ないのですが、
雇われている人だけで運営している場合、管理の綻びは、盗もうと意図している人にとっては、誠に火を見るより明らかなものです。
ハンディーターミナルで、オーダーを通しているところは、
大体において記録に残りますので、それも問題はすくないと思います。
一番問題なのが、伝票だけで運営しているところです。
伝票を通し、厨房が作りホールがキャッシャーをする場合は危険です。
状況として、ある人が勤務した曜日の売上が少ないと言う傾向が見えたり、
売上が急激に落ち、なおかつ原材料費が思ったほど下がらないなどの現象に見舞われますと注意しなければなりません。
例えば、疑わしいとしても、追及できません。
状況証拠でしかないからです。
面談してもしらを切られたら、それまでで、「疑われたので、退職します。」と言う結果にもなりますし、
逆に言うと、罪のない人間を疑うことにもなりかねません。
できれば、もしそういうシステムのお店であればそこのところは抑えてほしいものです。
私の考える抑えうる手段は以下の3つの組み合わせです。(ハンディーPOSは省略します。)
- レジ上にネットワークカメラを設置する。(今ほんと安いです。)※数日の画像を記録できるもの。
- レジをネット上でみられるネットレジにして、売上と打った内容を即時にいつでも見られるようにしておく。
- 伝票を通し番号のある複写式のお会計書付にする。
例えば下の例。
http://www.e-shizai.net/products/detail.php?product_id=17000
この3つがあると、不正は2名以上関わらないと難しくなります。
チェックする側は以下の3つをチェックをします。
- 伝票が連番で存在し、番号の抜けがないこと
- オーダーに残っている内容と、お会計に書いてある金額と同じであること
- POSの内容と伝票と同じ内容であること
もし、疑う点があれば、ネットワークカメラを確認します。
どうか、飲食店に金銭事故が起こらないことを切に願います。
本当に恐ろしいです。