飲食店にも合成の誤謬(ごびゅう)があるというお話│大きく見ないとだめ

空きを待つ人 飲食店経営

飲食店の経営や開業について感じたことをいつも書いています。

「合成の誤謬(ごびゅう)」という言葉があります。

このそもそもの意味は、「ミクロでは正しいことが、それが集まった時マクロでは思いもよらない結果を生むこと」を言います。

経済用語です。

経済においては、ある視点では正しいことが、視点が違うと正しくないことが起こりやすい。

例えば、個人レベルでいえば、「貯蓄」は美徳の一つともいえますが、全員貯蓄に励みだすと、

景気の停滞を生じてしまいます。


飲食店においても、似たような現象が現れます。

例えば、会計が終わった後、丁寧なお見送りをするお店もあります。

そういうお店は本当に気持ちいいものです。

だからと言って、お客さまが帰るたびに、全員がそれぞれの作業を止め、

お見送りに出てきたとしたら、そのお客さまには大変感動的かもしれませんが、

それによって、料理が冷めたり、作ることが遅れたりなど、

他のお客さまは様々な不利益が生じることでしょう。空きを待つ人


また、お店を企画するときもそうです。

店舗のデザインは、大変大事なことで、デザインが素晴らしいお店は、

お客さまのイメージに常に良い影響を与え続けることができます。

「だから、店舗のデザインはインパクトがあることが重要です。」

というのはある意味正しいことです。

一方、飲食業というのは、それだけの要素では計れません。

全てにデザインが優先されれば、様々な誤謬を発生させてしまいます。

例えば、働く人に視点でいえば、作業動線が出来る限り短くなければなりません。

店舗デザインだけでは計れない作業的視点も重要です。

また、料理もそうです。

店舗デザインが優先するあまり、出したい料理に悪影響がでないようにしなくてはいけません。

例えば、アパレル店で、店舗デザインが売る洋服を選ぶのと同じように、

店舗デザインがこうだから、料理をこうしてほしいというのは、

全く無視はできないにしても、そもそもは本末転倒です。


このように、飲食業というのはあくまでも経済活動ですので、

こういった誤謬を生じやすい。

店舗デザインは飲食店においては形や影響は大きいものですが、

それそのものはミクロのカテゴリーの一つです。

同じように料理なども、ミクロになります。

サービスのやり方も、ミクロです。

では何がマクロなのかと言えば、「全体コンセプト」ということになるのでしょうか。

ですから、全体コンセプトに合わせて、全てが企画されなければいけません。

そういうことを意識して、

ある考えを、どの範囲まであてはめていけばいいのか、

また、あてはめた時に、失われることやほかの不都合なことがないのかを常に気を付けなければいけません。

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