飲食店開業プロデュースを仕事にしている松島です。
飲食業界では、「居酒屋甲子園」というイベントは有名です。
全国の名だたる居酒屋が、接客サービスや料理のクォリティーを競います。
エントリーしたら、覆面調査が入り、その調査に基づき、1次審査、2次審査、3次審査とあり、
決勝では、6店舗がパシフィコ横浜で、自店のプレゼンをします。
以前、テレビでも紹介されていましたし、その様子を見ていると、
最近の若者の傾向にない、非常に元気な若者が、精いっぱい頑張る姿を見ることができます。
それは、いかにも「甲子園」のように、自分をかなぐり捨て、自己犠牲の上に、成り立つ
いわば「日本的」な精神美でした。
調べてみると、前年度2011年は福岡の「居心地屋 螢 上人橋店」が優勝しました。
まだ行ってないので、ぜひ優勝の内容を確かめたいなと思います。
しかし、過去の映像などを見ているうちに、ちょっとおかしいぞと感じてきました。
何せ、出てくるお店出てくるお店、元気いっぱいで、誕生日サプライズをして、非常に優等生的な
いわば「居酒屋甲子園で優勝するための形」にはめられているように思えたのです。
簡単に言えば「頑張ることで、創造性を失っている姿」です。
経験の浅いアルバイトさんたちを使い、ある一定のサービスを提供するには、
この「居酒屋甲子園」を利用するのは非常に有効だと思いますけれど。
私の本音は、「サービスは、もっと自由でいいじゃないか」と思うのです。
力いっぱい、いらっしゃいませをいうこと・・・それはお客さまによって、そうしたほうが良いのならそうすればいい。
表現者が、その受け取り手のことを想像することなしにやってしまうのは、たとえ一生懸命に考えた結果、
お店としてそうすることに決まったことであるということがあっても、「手抜き」です。
さて、私が気に食わないことは、この「居酒屋甲子園」の出発が、
「居酒屋を通じて日本を元気にしたい。」という崇高な理念から出発したにもかかわらず、
かなりの費用負担を、参加者や協力者に募っていることです。
サポーターと称し、
プラチナ会員 : 300万円/口
ゴールド会員 : 100万円/口
シルバー会員 : 50万円/口
サポーター会員: 10万円/口
と多額の費用をお願いしているのです。
これは、「どこまでボランティアでやるか」を考えた結果ではなく、
パシフィコ横浜のような大仰な施設を借りたりするためや、この活動に携わる企業にインセンティブを与える活動に使われている、
いわば広告宣伝に利用されつつあるということでしょう。
こうなることはよくあるパターンではありますが、活動は目的ではない、
本質は「お客さまに素晴らしいサービスの中で、素晴らしいお料理を、快適な場所で食べていただく。」事を通じて
日本を元気にすることではないかなと思います。
素晴らしいサービスは、お客さまによって変わっていくものです。
お料理もそう。
そのゴールは一生たどり着かないもので、また方向も何百万通りあります。
居酒屋甲子園が、これ以上形にはまらないことを望みます。