コーヒーの生豆は、まさに果実です。
熟した赤い状態の果実(チェリー)を収穫します。
より熟した完熟のチェリーがおいしいコーヒーになります。
収穫において、ブラジルのように平地で栽培されるところは機械化ができます。
一方、山岳地帯も多く、そこは機械化が難しく、手摘みで収穫します。
また、同じ木でも豆の塾仕方が違うために、2~3カ月かけて豆の色を見ながら収穫します。
収穫したコーヒーチェリーに未熟なものが混じっているので、選別の工程が入ります。
ほとんどが人の手により行われています。
ここからやっとプロセシング(生産処理)に入ります。
主なプロセシングは、3つあります。
1.ナチュラル 2.ウォッシュト 3.パルプトナチュラル
そのほか、近年、プロセシングも進化して、さらに2つの製法が生まれました。
4.スマトラ式│セミウォッシュト 5.アナエロビック│嫌気性発酵
それぞれの製法によって、出来上がったコーヒーの品質は影響されます。
それはなぜかと言いますと、コーヒーは単に乾燥し焙煎するだけでなく、その途中に発酵というプロセスが含まれています。
製法によって働く菌が違いますし、コーヒーチェリーの状態も違いますので、最終的に出てくるフレーバーに影響します。
それでは、製法によってできるフレーバーの違いを説明します。
ナチュラル
ナチュラルは古くからおこなわれている製法で、ブラジルで広く行われていて、中南米、アフリカでも行われるようになりました。
果皮・果肉がついたままなので、乾燥させる時間が長く必要になります。
また、乾燥したらレーズンのように黒い状態になり、不良豆の選別が難しくなります。
よって、収穫からプロセシングに入る間に、しっかりした選別が行われる必要があります。
プロセシングにおいて、長くかかる乾燥も管理がなかなか容易ではありません。
気温が低く乾燥させにくい中南米やアフリカの高地では特に、乾燥する時間がかかりすぎてそのまま腐敗する豆も生まれます。
この乾燥率のコントロールが、よい品質を保つキーポイントになります。*フレーバーの特徴
完熟したフルーツの香りを思わせる、甘いフレーバー
ウォッシュト
ウォッシュトは、水洗式の選別法です。
高級なコーヒー豆の多くが古くからこの製法で作られてきました。
まず、コーヒーチェリーに圧力を加えて果実を取り除く機械(パルパーと呼ばれています。)で果実を取り除きます。
この時のコーヒー豆をパーチメントと呼びます。
このパーチメントの状態で発酵槽に移し、12時間から72時間かけて表面の粘液質を発酵によって取り除きます。
発酵が終わったら、水路でパーチメントをしっかり洗います。水をたくさん使いますし、設備も大きなものになります。
水のきれいさや、洗った後のかすの除去など、設備の管理状態も、コーヒー豆の品質に多大な影響を与えます。
*フレーバーの特徴
酸味の違いがよくわかるクリアで繊細な味わい
パルプトナチュラル
パルプトナチュラルは、ナチュラルとウォッシュとの中間的製法です。
果皮、果実を除去した後の粘液質のついたパーチメントを、洗うことなく乾燥させる製法です。
1990年代にブラジルで始まりました。
果実の選別には、水流によって未熟な豆を選別する工程を組み込んだことにより、品質が格段に向上しました。
中米のパルプとナチュラル製法のコーヒー豆は、
粘液質の除去率によって、ナチュラル側のフレーバーに近いもの、ウオッシュト側のフレーバーに近いものなど、様々なフレーバーが生まれます。
0%:ブラックハニー++++よりナチュラルに近い
~50%:レッドハニー
~80%:イエローハニー
~100%:ホワイトハニー++++よりウォッシュトに近い*フレーバーの特徴
粘液質の除去率によって、甘いフレーバーから酸味がわかりやすい繊細なフレーバーまで
セミウォッシュト
インドネシアで行われている生産処理方法です。この地域は雨が多く、乾燥工程が長く取れないため、果実を乾燥工程の途中で除去し、通常1週間かかる乾燥工程を3日で仕上げます。
生産処理で作ったコーヒー生豆は、深い緑色になり、独特のフレーバーを生み出します。
*フレーバーの特徴
セダー(杉)やすがすがしい森林を思わせるオリエンタルなフレーバー
アナエロビック
生産処理の際に起こる発酵がフレーバーに影響しているということが明らかになってきた近年、新しい生産処理方法として考えられたのがアナエロビック(嫌気性発酵)です。
密封できる発酵漕と、酸素を追い出すためのガス(窒素や二酸化炭素)を充填する機械が必要です。
また、今までのコーヒーとは違う菌が働くために、全く違うフレーバーが楽しめるとも言えます。
始まって間もない製法で、発酵に関わる菌もまだ偶然によるものなので、これからどうなっていくかが楽しみです。
*フレーバーの特徴
これから新しいフレーバーが生まれます。