飲食業において、数値管理の基本中の基本は、F/Lコストの管理だといわれています。
(念のため、Fコスト=売上対原材料比率、Lコスト=売上対人件費率です。)
で、コンサルティングにおいて、「F/Lコスト(F+Lのパーセンテージ)を60%以下にコントロールしなくてはいけませんよ・・・。」というをただ唱えるのでは、誰でもできることですね。
さて、それを実際改善する場合ですが、
どこに問題があるかは、様々な要因がありますが、大雑把に言って、人の問題が大部分です。
従業員が楽してれば、基本的にF/Lコストは跳ね上がります。
従業員が暇なく動いていれば、F/Lコストは下がります。
(※忙しくしているフリをしているのか、どうしても必要なことで動いているのかは、観察する必要があります。自己防衛のためのフリかどうかを見抜き、無駄をなくしてみて、ヒマならば明らかに非効率といえます。)
例えば、売上が10%落ちたとします。
Fコストは、比例して下がります。
しかし、同じ労働時間で営業すれば、当然F/Lコストは上がるでしょう。
細かく管理していなければ、そうなりますし、よくある光景です。
で、出来た店長はパートアルバイトの時間調整をするのですが、売上げに比例して労働時間をカットしても、F/Lコストは下がりません。
なぜなら、いきなり正社員を時間カットせずに、平均時給からすると時給が低いパートアルバイトから時間カットするからです。
バランスをとるには、少なくとも20%程度の時間数をカットしなくてはなりません。
でも、それでは、運営が成り立たなくなります。
じゃどうするか・・・・色んな手があるのですが、例えば、まず材料を見直します。
他の場所で加工しているものを、自分のところで加工するようにします。
そうしますと、仕入れ原価は下がります。
でも、作業量は増えますが、それを暇な時間で、時間数を絶対増やさずにやります。
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そんな工夫をやって、初めてF/Lコストが標準値に収まることが出来るのです。
しかし、従業員にとっては、労働強化に他なりません。
例えば、数値管理、スケジュール管理、現場管理をほとんど現場の従業員任せにやってると、率先してきついことは絶対といって良いほどやりません。
じゃどうするかですが、管理の指標をどんなに唱えても、「出来ません」「無理です」というばかりです。
それは当たり前なんですね。
なぜかというと、アルバイトとは言えども、収入を減らすことは、忍びないという人情が働きます。
人は決して仲間に冷酷にはなれない。
会社の内部の人に、改革が難しいのは、この部分です。
だから、人に対する評価の基準や、がんばれば報われる制度があることも重要ですし、冷徹に管理できる外部アドバイザーを利用するのも手です。
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すべてが人の手を経て、料理やサービスが行われますから、人の問題=経営数値だといえます。
同時に、作業上の無駄を削りに削って、全体の作業量を減らすことです。
そして、忙しく動き回る人ばかりにして、それでも楽しく働く場を作ることで、退職を防ぎます。
出来る店長は、そこがうまい。
というわけで、人なのですが、なかなか難しいんですよねこれが。
人がついてこなくては、きつい事はやってくれないもんですから。
率先して、自分からつらいこときついことをやらなくてはいけない・・・そういう店長や料理長を最近なかなか見ませんけどね。
かく言う私も、決して優秀な店長とはいえなかった。
今になってああすればよかった、こうすべきだったと思えるのですが・・・・・。
やはり雇われているというのは、なんかぬるくなりがちです。
その点、オーナーシェフは、必死にならざるをえない。
色んな立場がありますが、とにかく人なんです。
私も、必死にお役に立てるように、この仕事で、暇なく働き続けます。
そして、やはり、この仕事をもっと好きにになれたら、楽にたくさん働けるんです。
そうなれるように、精進してまいります。